突発性難聴によく似た難聴について(よく似た難聴)

 

医学的には「突発性難聴」は、ある日突然聴こえなくなった後、その難聴の程度がさらに進行することはないとされています。しかし、症状は様々です。安易に自己判断せずに、医療機関への受診をお勧めいたします。

 

ここでは、突発性難聴と似た難聴を簡単にご説明いたします。

 

 

  ●聴神経腫瘍

  ●ムンプス聾

  ●外リンパ瘻

  ●騒音性突発性難聴

  ●低音障害型感音難聴

 

 

 

--------------------------聴神経腫瘍---------------------------

 

脳腫瘍の一種で、ほとんどが良性腫瘍といわれています。とてもゆっくり大きくなりますので、症状が出現するまでには、時間がかかる場合が多いようです。

症状としては、聴力の低下

から始まります。

最初は耳閉感や耳鳴りだけなのですが、徐々に聴力が悪いことを自覚し、

次第にめまいや顔の麻痺が起こります。

 

当初は感音性難聴ですから、突発性難聴やメニエール病といわれる事もあります。

ですから、画像診断で腫瘍が確認され、病気が発見されます。

 

治療は手術、ガンマナイフという治療法になります。

鍼治療の適用ではありませんので、当院では聴神経腫瘍が疑われる場合は

CTやMRIのある医療機関への受診を勧めております。

 

 

 

---------------------------ムンプス聾----------------------------

 

流行性耳下腺炎やおたふくかぜといった病気の原因ウイルスであるムンプスウイルス。

このウイルスが内耳感染によって生じる難聴をムンプス難聴と言います。

 

ムンプス難聴は片側の耳(両側の場合もあります)に突然難聴が発症し、

聴力の損失が重度のことが多く、聴力回復がしにくいなどの特徴があります。

 

15歳以下が多く、なかでも5~9歳が多いとされています。

おたふくかぜの0.2~1.1%に難聴が発生すると言われています。

しかし、病気になるのが小児が多く、聴力の低下が片側である為、気付くのが遅くなり治療開始が遅れる事もあります。

 

ムンプス難聴は聴力がスケールアウトと言って全く聞こえない状態になる場合が多いのですが、早期に鍼治療することで100デシベル程度の回復する例は、突発性難聴ハリ治療ネットワークにはいくつもあります。60デシベルまで回復した例もあります。

 

本来、ムンプス難聴は不可逆性と言われ回復は不可能と言われますが、実際治療して回復された方はおられますので諦めずに、治療をすることをお勧めいたします。

ただ、今のところ完治した例はございません。これから1人でも多くの完治した方をご紹介できますよう精進してまいります。

 

 

 

---------------------------外リンパ瘻---------------------------

 

外リンパ瘻とは内耳と中耳の間にある内耳窓が破れ内耳の中にある外リンパ液が中耳に漏れ、めまいや耳鳴り、難聴を引き起こす病気です。

 

内耳窓には前庭窓(卵円窓)と蝸牛窓(正円窓)があり、どちらか一方が破れる場合と両方が破れる場合があります。

 

外リンパ瘻になるときには内耳窓が破れる「ポンッ」という音が聞こえる場合があったり、水が流れるような音がしたりするケースがあります。

また耳鳴りと同様にフラフラするめまいを感じる方、回転性のめまいを感じる方、

またはめまいを全く感じない方もいます。

 

 

 

------------------------騒音性突発性難聴-----------------------

 

とても大きな音を聞くと、一時的に耳鳴りや難聴がおこる場合がありますが、これが治らなくなった状態の事です。音響外傷は、片側の難聴になったり、両側の難聴になったりしますが、騒音性難聴は、両側が同程度の難聴になります。

 

大きな音を聞いた為、内耳に障害を起こしてしまうのですが、低音よりも3000ヘルツ以上の高音を聞いた場合の方が傷害されやすいと言われています。

 

また騒音性難聴も音響外傷も難聴になってから長い期間を経過している場合は回復しにくくなります。感音性難聴すべてに言えることですが、早期治療が重要です。

 

 

 

 

------------------------低音障害型感音難聴---------------------

 

音の大きさや高低音を認識する場所である蝸牛という器官の周辺で何らかの異常で低音部が聞こえにくくなる病気です。

 

ストレス難聴とも呼ばれ、心身の疲れが難聴の症状として表れる訳です。

また、20代~40代の女性に多いと言われています。低音障害型感音難聴は低音部のみが悪くなります。

 

125、250、500Hzの3つが低下しますので、聞こえないと言うよりは「聞き取りづらい」「耳に水が入ったような感じがする」という「耳閉感」が主な症状になります。もちろん、聴力の低下した程度によっては、「聞こえない」という表現の方もいらっしゃいます。

 

また、耳鳴りも低音の音が多いようです。ボー、ブー、ゴー、ザー、ブーン、などのいわゆるモーター音ような音です。低音障害型感音難聴の特徴として「治りやすいけど再発しやすい」という傾向があります。

突発性難聴の場合一度治ったら悪くはなりません。

 

しかし、低音障害型感音難聴は聴力が正常になったにもかかわらず、再度聴力が低下する場合があります。それは完治してから1週間後という場合もあれば数年後という事もあります。

 

また、再発を繰り返した場合、耳鳴りや耳閉感などの症状が残る方も多くいらっしゃいます。つまり低音障害型感音難聴は治すことと同じように再発防止も大切な事と考えています。

 

鍼治療は低音障害型感音難聴に対してとても効果的な治療のひとつだと考えております。早期に治療を開始すればもちろんのこと、投薬による治療で効果が無かった場合や耳鳴りや耳閉感が残った場合、何度も繰り返す場合などにも有効である場合が多くみられます。

 

また、再発防止にも鍼治療はとても効果があると考えています。